- 60 -じると、その裁判官をやっつけて、絞首刑執行吏も出し抜いた。そしてそれから悪魔もよ。パンチ君を地獄に連れ去ろうと現れた悪魔を、やっつけたの。パンチ：（驚いたふりをして）そうだ、そうだった…ニコラ：それで何が変わったの？パンチ：そうだな、ニコラ、それに観客のみなさま、オレさまは昔の骨董品じゃない。生きる伝統だ。いつの世にも合わせている。指図ばかりする権力者には、どんな時でも挑戦する。でも、舞台ではいつでも、みんなを笑わそうとしてきた。みんながお行儀良すぎてできないことも、オレさまにはできるから。変わったのはオレさまじゃない。社会は変わるし、オレさまもそれにつれて変わる。「そうさ、それがオレのやり方さ！」 さて他にご質問は？ニコラ：ありがとうございました。パンチ君。では、ごきげんよう！［覚書］原作者 Dr. ニコラ・クレア・グローブ 2020年4月3日わたしが家族から受けついで大事に持っていたパペットのコレクションを、友人であり共に仕事をする芝しょうこさんが御覧になったことから、日本に呼んでいただき、パンチ&ジュディを上演できました。孫たちが通う学校で小さな上演会をしたことはありましたし、パンチとその歴史については、ずっと興味をもってきました。特に、SF作品ラッセル・ホーバン作『リドリー・ウォーカー』を読むと、パンチについて、また、パンチが今わたしたちにとり、どのような意味を持つかについて、まったく新しいエキサイティングな考え方ができるようになります。パンチ&ジュディの上演者になるには、何年にもわたる修練が必要で、家族代々に受け継がれてきた、というのも珍しくありません。自分になんらかのスキルがあるふりは、できませんし、この伝統を軽んじることになるでしょう。というわけで、ほんもののパンチ師「プロフェッサー」であるグリン・エドワーズに教えを乞うことになったのです。二日間にわたってグリン・エドワーズ師から歴史を学びましたが、グリンのほうもわたしが試みようとしていることを応援してくれました。わたしは伝統について語りました。グリンに助けられて、わたしが理解することになった、この小劇の「決まりごと」を説明しました。わたしは箱舞台を使いません。ですので、人形を操っているのは、わたしということは明らかです。人形遣いが舞台上でするように、「腹話術」のように行ったのです。パンチ君にインタビューするなんてアイディアがどこから生まれたのか思い出せないのですが、伝統を生かそうとする時に直面せざるをえないカナメの問題を伝え合うには、良い方法だったように思います。
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