- 59 -特集Ⅰ：日本におけるパンチ＆ジュディ再考び、知っている子守唄を口ずさんでもよい。赤ん坊は眠りにつく）パンチはソーセージを炒め始める。そうこうするうちにワニが現われる。子どもたちは「ほら！ワニだ、後ろにいる」などと叫ぶ。そのつどワニは隠れる。しかしついに、ワニはソーセージに喰らいつき、さらにはパンチ君にまでかぶりつく。みんなが口々にジュディに助けを求める！ジュディがやってくる。ジュディ：パンチ君、ワニと何やってるの？パンチ：遊んでるわけじゃないよ。ワニがオレさまを呑みこんだんだ！ソーセージもワニが食っちまったんだ。ジュディ！助けて！ジュディ：ソーセージも！パンチ：そうなんだ。ジュディ：みんなの朝ごはん用のソーセージも？パンチ：そうなんだ。ジュディ：見てみるわ。棒はどこ？パンチ：あそこ。ジュディ：どこ？子どもたちが指さして叫ぶ。ジュディが棒を持ってワニの頭に一発おみまいする。ワニはパンチ君を吐き出し、パンチとジュディと赤ん坊が抱きあう。パンチへのインタビューニコラ：さてパンチ君、350年も生きてきたんだって？パンチ：それよりもっと長いよ、ニコラ。ニコラ：ええ、英国では少なくとも350年ね。そしてもちろん上演は、ずいぶん変わってきた。だから、ここにいるみんなは、そのあたりのことを聞きたいと思うの。ちょっと質問してみていい？パンチ：いいとも。ニコラ：そうね、わたしも小さい時にパンチを観たことを覚えてる。正直云って、なんか怖いなと思ったわ。「語り」をしている友だちは、パンチ＆ジュディを子どもに見せるなんてありえない、と云っている。暴力満載が伝統だから。パンチ：そのとおり。昔は暴力的な時代で、絞首刑を見物に行くのが人気だった。喧嘩も児童虐待もわんさかあった。ニコラ：そうそう。パンチ君は赤ん坊を窓から放り投げたりしてた…パンチ：本当？まちがいない？ニコラ：ええ、たしかにやってたの。で、子どもたちがジュディを呼び戻すと、パンチ君がジュディをぶちのめしたの。まさに家庭内暴力ね。で、観客が警官を呼び出すと、今度は警官もやっつけたの。裁判官が絞首刑を命
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