- 58 -ジュディ：あらまあニコラったら。卵が無くては、子どもたちにおいしいイギリス式朝食を出す、なんて無理でしょ。ちょっと買い物に行ってくるわ。さて、誰かに赤ん坊の世話を頼まなくっちゃ。さあ、パンチを呼ぼう、パンチ、パンチ君！ここに来て！（反応はない）皆さん、パンチを呼ぶのを手伝って！パンチ君！（大いびきが聞こえる。子どもたちは大声で叫ぶ）パンチ：なんだなんだ！オレさまはパンチ君。一番偉い！これはオレさまの棒！この棒を使ってみんなを起こす！ちゃんと聞いてるか見る。やあジュディ、熱いキスをして（ふたりは抱きあうが、はずれてしまい巧くキスはできない。とうとう唇にキスできる）こんにちは、みんな。オレさまに会いにきてくれたんだよね？（イエスあるいはノーを、子どもたちが叫ぶ）ジュディ：みなさんは、あなたに会いにきたんじゃないわ、パンチ君！パンチ：いや、そうだよ。ジュディ：いいえ違うわ！（やりとりのうちに、子どもたちも仲間入りする）ジュディ：ええっと、パンチ君、手伝ってほしいことがあるの。ここにいるみなさんに、おいしいイギリス式朝食を作りたいの。そのために卵を買いに行かないと。そのあいだパンチ君に赤ん坊をみててほしいの。パンチ：どの子？ジュディ：うちの子よ。パンチ：子どもがいたんだ。で、どこにいるの？（わざと違う場所を覗きこむ。そのたびに子どもたちは「あっち」などと叫ぶ）（赤ん坊を逆さ吊りにすると、子どもたちは、駄目～などと叫ぶ）ジュディ：駄目駄目駄目、パンチ君。逆さじゃない！はい！（と云って、パンチが赤ん坊を正しく抱けるように手助けし、二人ともが赤ん坊にキスをする）さ、パンチ君、わたしが買い物に行ってるあいだは、この子の面倒をみていてね。パンチ：オレさまの仕事じゃないな。男は赤ん坊の面倒はみないものさ、なあみんな。（子どもたちは、うん、みないよ、などと叫ぶ）ジュディ：いいえ、みるわよ。（子どもたちも同調する）ジュディ退場パンチ：じゃあまあ。赤ん坊の面倒をみようか。もう歩けてもいい頃なんだがなあ。さ、歩いてみな。ほら。（とパンチは寄り添う）しょうがないな。ソーセージでも焼くか。（パンチがソーセージの方を向くと、赤ん坊は動く。子どもたちは、見て！と叫ぶ。赤ん坊は歩く！パンチが振り向くたびに、赤ん坊は立ち止まる）パンチ：もういいや。さ、寝る時間だ。（パンチは赤ん坊を寝かせつけ、子守唄を大声で歌い始める。赤ん坊が泣く。子どもたちは泣かないで、と叫
元のページ ../index.html#60