- 45 -特集Ⅰ：日本におけるパンチ＆ジュディ再考２．日本最初のパンチ＆ジュディ記録写真はタカラジェンヌによる上演日本におけるパンチ＆ジュディという点での南江治郎（1902-82）の功績は、1972年に上演台本を書物『ファウストとパンチ』として出版したことだ。しかし、実は、その40年も前に、パンチ芝居の実演にたずさわり、写真記録を残していた。演出家として南江がタカラジェンヌを指導しパンチ劇を上演した経緯を「宝塚での試演に就て」4にまとめ、上演写真を４枚[ 図２]、自身が発行する雑誌に掲載していた。これが、日本におけるパンチ＆ジュディ記録写真としては、現在遡れるかぎりで最も古いものである。1931年12月から翌年1932年12月までの１年間に、宝塚音楽歌劇学校嘱託であった南江は、宝塚小劇場で人形劇４篇を演出した。その最後の演目が「鼻高ポンチ」（１幕）で、月組生徒による1932年９月公演だと記している。先立って『歌劇』に掲載された、人形劇場創設を宣言する文章5では、世界の人形劇文化を概観し、英国については「詩人スチブンソンの愛した紙人形と、大道芸人パンチ君しか持たなかった」とまとめており、パンチ劇を視野に入れていた。「鼻高ポンチ」を含め、上演４作について、筋や台本、配役などの詳細は語っていない。末尾に（挿画――「鼻高ポンチ」の各場面）とのみ記し、写真４枚のキャプションに代えている。パンチ＆ジュディは定型芝居であるから、場面は次のように想像できる。１．パンチがジュディと喧嘩し赤ん坊を放り投げる２．仰向けにひっくり返ったパンチが医者に診てもらう３．犬がパンチの鼻に噛りつく４．ミンストレル芸人ジム・クラウとの場面1243[図２]タカラジェンヌが南江指導のもとで演じるパンチ劇写真としては日本最初の記録
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